前回に引き続き、今回もGTD全面改訂版を読んで気付いたことのお話です。
実は、今までぼんやりと解釈していて自信がない箇所がありました。
GTDの基本のフローチャートを見ると、一方通行で『把握する』『見極める』『整理する』と流れていくんですよね。
(一番上が『把握する』。「これは何か?」から始まる中心の幹が『見極める』。枝葉のパーツが『整理する』というふうに分かれています)
……で、『把握する』と『見極める』は同時に行ってはいけない。とか、『見極める』と『実行する』は同時に行ってはいけない。と、注意書きがあったのですが、『見極める』と『整理する』も同時に行ってはいけないのかな?と、不安に思っていた頃がありました。
まとめてやるか、都度やるか
GTDの基本ステップに従って、まずは「頭のなかの気になること、すべてを脳の外に追い出し、インボックスにまとめる」と、やっていったとします。
問題はその後。
インボックスにある『気になること』をひとつひとつ手に取り、「これは何か?」と見極めていった際、「すべてを見極め終えるまで、整理をしてはいけない」のか、ひとつひとつを見極めて「その都度整理していく」のか。
果たして、どちらが正解でしょうか。
すべてを見極め、まとめて整理する
たとえば「これは資料だ」と見極めたものを整理するとき、スキャンしてEvernoteへ放り込むとしましょう。
ただ、まだ見極めていないインボックスの中には、他にもスキャンすべき資料があるかもしれません。
パソコンを使う作業は、まとめてやった方が何かと効率的です。
これは、見極めが終わったあとで「まとめて整理」した方が良さそうです。
見極め、その都度、整理する
今度は「これは『プロジェクト』かな。こんな感じでアプローチして、これくらいをゴールとして取り組んでみようかな?」と見極めたとします。
それを即座に『プロジェクトリスト』に加え、ゴール設定や、タスクを追加していくのか。
それとも考えるだけ考え、忘れそうなら軽いメモを残しておいて、次のインボックスの中にあるものに注意を向けるのか。
見極めと整理を同時にしてもよいなら前者ですが、まとめて見極め、まとめて整理しなければならないのなら後者です。
もし後者でなければならないなら、インボックスの中身が膨大だった場合、「どう見極めたか」を思い出すのも、ひとつひとつにメモを残すのも、かなりの労力が必要となります。
結局、そういったものは、その都度、整理するほうが効率が良さそうです。
以上のように判断して、今まで「自分のやりやすいように」と、同時にやったりやらなかったり臨機応変に進めていたました。
2つは密接に結びついている
あやふやな解釈で『見極める』と『整理する』を自分なりのアレンジで、同時にやっている際、「これは本来、GTDのルールからは逸脱した行為なんだろうか」とモヤモヤしていました。
いや、まあ、好きにやっていいのでしょうが、こうやってブログに書く場合は、「ものども、これがGTDだ!」と堂々と書くには憚られます。
そんなモヤモヤを抱えたまま全面改訂版を読んだら、特に「見極める」と「整理する」を同時にやってはいけません。という文言は見つからず、かわりに以下のような記述を見つけました。
このように「見極める」作業と「整理する」作業は密接に結びついているので、インボックスの見極めにとりかかる前に、本章と「整理する」ステップを扱った次章を先に読むといいだろう。そうでないと二度手間になるものが出てきてしまうからだ。(p.178)
……と、いうことで、二度手間になるくらいなら『見極める』と『整理する』を同時にやってもいいと、勝手に解釈することにしました。
時間がかかりそうなものは、あとでまとめてやる
さて、それではどんなタスクなら、即座に「整理する」と判断すればいいでしょうか。
インボックスを空にするため、リズムを作ってどんどん見極めていくには、その都度、整理して足止めを食うわけにはいきません。
もともとGTDには2分ルールというものがあります。
見極めている最中、「行動を起こす必要がある」と判断したあとの次の問いかけが「2分でやり終えることができるか?」です。
2分で終えられるものならば、整理に時間を割くより、その場で実行してタスクを減らしたほうが良い。ということですが、この2分ルールは「今、整理するか?」にも応用できそうです。
シンプルに「これは『カレンダー』に登録。これは『いつかやる/多分やるリスト』に追加」と、「見極めて、整理する」を2分くらいでできるなら、それは、その都度、整理していった方が捗りそうです。
さて、それでは『プロジェクトリスト』はどうでしょうか?
プロジェクトの中でも、「娘の誕生日プレゼントを買う」とかなら「欲しいものをリサーチし、買うものを決め、値段を見比べて、買う、プレゼントする」と、2分以内に『プロジェクトタスク』は完成します。
ですが「家を買う」など、リサーチ、分析評価、比較検討、見学、契約、書類作成……と、複雑なプロセスを中長期スパンで取り掛かる必要のあるものは、『プロジェクトタスク』を作り終えるのに2分では片付きそうにはありません。
これは、とりあえず『プロジェクトリスト』に加えておいて、次の見極め作業へ注意を向けていったほうが良さそうです。
そしてインボックスが空になった時点で、改めて『プロジェクトリスト』に注目し、ゴール設定・タスク追加作業を書き綴っていく。というのは、いかがでしょうか。
つまり整理も2分以内で終わらせられそうなら即座に整理し、それ以上かかりそうなら、わかりやすく分類をサッとしておいて、あとでまとめて整理する。というルールです。
以上がアレンジしてみた私の『2分ルール』。
最後に、公式ではどうかと、全面改訂版を読み進めると以下のように書いてありました。
プロジェクトのリストを作るのは、インボックスを「見極める」作業の時でも、「次にとるべき行動」のリストを作成したあとでもかまわない。(p.198)
……と、いうことで、いつ作るのかのタイミングは「ここで!」とは決められてはいないようですね。
もし同じように迷っていた方がいたなら、参考にしてみてください。
あと『ゴミ箱』や『資料』などへの整理は2分ルールは適用せず、『ゴミ箱に捨てる』『シュレッダーにかける』『ファイリングする』『スキャンして取り込む』などコンテキストごとに大雑把に分類しておいて、あとでまとめて整理するのが効率良さそうです。
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