2016年この春観た映画3本感想

さてさて、また映画を観てきたので感想です。
今回取り上げる作品は『アイアムアヒーロー』『名探偵コナン 純黒の悪夢』『64(ロクヨン)前編』の三作品です。

アイアムアヒーロー

あらすじ

主人公・鈴木英雄は、さえない35歳の漫画家。デビュー作は連載開始後半年で早々に打ち切られ、借金も背負い、アシスタントをしながら再デビューを目指しネームを描いては持ち込む日々が3年を経たが、依然として出版社には相手にされない悶々とした日常を過ごしている。(中略)
そしてある日、そんな日常は思いもよらない形で崩壊を始める。英雄の眼前に繰り広げられるのは、周囲の人々がゾンビのような食人鬼と化す謎の奇病が蔓延、彼らに噛み付かれた者は感染者となり次々と増えて行く悪夢のような光景であった。恋人や仕事仲間も犠牲となり、世界がパニック拡大と秩序崩壊へと覆われるパンデミックの中、英雄は早狩比呂美との出会いを通じ、世界の崩壊から生き延びようとする。【Wikipediaより引用】

感想

血とか肉とか生々しく、そういうのが苦手な人はとことん苦手な描写が目白押しでした。

『寄生獣』の実写映画が平気だった友人と一緒に観たのですが「途中で席を立つか迷った」と思うほど、今回はキツかったとのこと。

私自身も、そういう描写の時は薄目での鑑賞だったくらいエグかったです。

物語の中でZQN(ゾンビ)化していくキャラクター達を、皆さんリアルに顔面崩壊させていくので、「ふええ」と椅子の背もたれに体をめり込ませるくらい仰け反って観てました。

さてさて、キャスト陣について語るとすれば、何はなくとも大泉洋!
漫画を描く姿から、銃を構えるところまで原作キャラにそっくり。

大泉さんは、やっぱり三枚目が板についてますね。
情けなく声を震わせながら、涙目になって自分を奮い立てるシーンがとにかく印象的。

そこからの対比で、クライマックス手前でやっと銃を構える場面での爽快感といったら言葉になりません。
古い表現ですが「キター!」ってもんですよ。

有村架純や長澤まさみのヒロインたちも求められるヒロイン像をあますことなく、しっかりと演じきっていたと思います。
ちょっと存在感とか活躍の場とか、個人的には物足りなくも感じますが、あんまり出しゃばると主人公を食ってしまうので、やはりあれくらいで丁度いいのでしょう。

あと個人的には岡田義徳のキャラが好きです。
物語を引っ掻き回して、チームを混乱に陥れますが、どこか憎めない。
吉沢悠の演じるキャラが酷過ぎるせいで、逆に敵対するキャラの好感度が上がってしまうという、不思議な現象にも安心して乗っかれます。

物語としても、面白かったです。

普通である自分へのジレンマ。
『特別』にあこがれているのに、いざ『非日常』に投げ込まれても逃げ惑うことしかできない。

主人公、英雄(ひでお)が、なかなか銃を撃たないんですが、逆にアメリカ映画のように、最初からガンガンぶっ放すキャラだったら、ここまで主人公に親近感を持つこともなかったと思います。

その辺が普通のゾンビ映画とまた違って、自分のことのように共感してしまい、余計に恐怖を煽られるという『怖さ』の演出に繋がっているのかもしれません。

ショッピングモール内の黒焦げの死体の経緯とか、有村架純が本格的にZQN化しないこととか、やや説明不足な部分はありましたが、パニックムービーとして許される範囲だったと思います。

名探偵コナン 純黒の悪夢(ナイトメア)

あらすじ

大規模リニューアルを迎えた東都水族館。その目玉となる世界初の二輪式巨大観覧車を見るためにやってきたコナンたちは、そこでケガをした謎の女性と出会う。どうやら何らかの原因で記憶喪失になってしまっているようだった。手がかりは壊れた携帯電話のみ。コナンは少年探偵団と共に、彼女の記憶を取り戻す手伝いをすることに。その時、灰原が異変に気付く。その女性は、左右の瞳の色が異なる”オッドアイ”の持ち主だったのだ。【公式サイトより引用】

感想

今年も行ってきましたコナン映画。
漫画・アニメは追わず、最近はもっぱら映画のみの鑑賞なので、『黒の組織』とか、「赤井さんが生きていた!」くらいしか把握してないのですが、それはそれとして面白かったです。

数年前の新キャラ目白押し、誰も彼も怪しいっていう状態から、実は彼はスパイ。彼女もスパイ。そしてあの人もこの人もっていう状態だったらしく、導入部分のあらすじ説明でだいたい理解することができました。

それにしても黒の組織、潜入され過ぎじゃないッスかね?

そして黒の組織のトップは謎のまま。
未だに「ナンバー2は誰だ!?」ってやってるところから想像するに、あと10年は続きそうです。

さて、コナン映画といえば、もはや様式美とも言える冒頭の事件・事故による爆発シーン。
このためだけに劇場で観ていると言っても過言ではないほど、毎回、迫力があってお気に入りなのですが、今回の映画でも見事なカーチェイス。
高速道路での逆走やライフルによる狙撃、そのまま海へ沈没。爆発……と、ハデハデな演出にワクワク感が止まりませんでした。

あまりに事件に巻き込まれすぎてて、もはや舞台となる米花町周辺のおもな公共交通機関、レジャー施設は損害保険に入れない状態になっていそう。
あと鈴木財閥も。

もう一つの様式美といえば、毎度毎度ヒロインの毛利蘭が危機的状況に陥って、すんでのところで助かるっていう展開なんですが、今回も物語の必要性に関わりなく、フラッと呼びだされて、新一(コナン)とニアミスし、プリッと巻き込まれてサクッと助かってました。
あと少年探偵団も。

そんなお約束の展開を踏襲しつつ、今回の見所は黒の組織よりも何よりも安室さんと赤井さんの掛け合い。

安室さんの声に古谷徹を起用してて「ニクい」なと思っていたのも束の間、赤井さんに池田秀一持ってきて過去の因縁をほのめかし、言い合いをさせるとか、オッサン・オバサンのガンダムファンホイホイっぷりにヤラれてしまいました。

Wikipediaで各キャラの名前の由来が説明されていたのですが、まさしくソレなので確信犯ですね。

若い世代には響かないでしょうが、それでなくても普通に観ていて殺陣も良かったし、腐女子アイで観てもオイシイ遣り取りでしたし、あらゆる意味で黄色い声が脳内で響いていましたよ。

近年稀にみる、言葉で表現できない興奮を味わいました。

それと毎度、映画ではゲスト声優として、その時、旬の芸能人が声を当てるのですが、今回は何をどうしてか天海祐希で、「なんで?」って思ったものの、そこまでアニメの邪魔にならず声の演技もなかなか良かったのでホッとしています。

去年の榮倉奈々は、ちょっとあまりにも異質というか、浮きまくってたので。
PRのためには仕方がないとはいえ、これだけは許しがたい作品もチラホラあって鑑賞前にハラハラしています。
(せっかく物語にのめり込んでいたのに、いきなり戦場カメラマン渡部陽一が喋り出した時の私の心の引きっぷりを想像してください)

物語としては、今回は「犯人は誰だ!?」的なミステリーものではなく、どちらかというとドラえもんの『鉄人兵団』的な展開。
とってつけたようにミステリーにするんじゃなくて良かったと思います。

去年の映画なんて「犯人は誰だ?」っていうより、「キッドは誰だ?」っていうことの方が重要視されてて、犯人はあからさまにゲスト声優がやってて分かりやすかったし、犯行動機にも感情移入できないしで散々でしたからね。

64 前編

あらすじ

わずか7日間で幕を閉じた昭和64年(1989年)、D県警管内で7歳の少女・雨宮翔子が誘拐され、殺害される事件が起こった。(中略)平成の世に紛れた犯人を逃がすまいとこの事件をロクヨンという符丁で呼び解決を誓うが、遺族に吉報がもたらされないまま時は過ぎ、捜査本部は専従班に縮小され、名ばかりの継続捜査状態となっていた。
平成14年(2002年)、捜査二課次席まで出世していた三上は、突然警務部への異動を命じられ、広報官に任じられる。(中略)
時効間近のロクヨンについて警察庁長官が視察に訪れることが決まり、被害者遺族宅への長官の慰問許可を取り付けて来るよう赤間から命じられた三上が雨宮宅を訪ねると、雨宮は長官の慰問を拒否する。(中略)そんな中、三上の同期で人事を扱う警務部調査官の二渡が、ロクヨンについて聞き回っていることが分かる。(中略)なぜ刑事ではない二渡がロクヨンを調べているのか、幸田メモとは何なのか、雨宮と刑事部の関係悪化の原因がそこにあるのではないか、三上の中に疑問ばかりが積み重なっていく。 【Wikipediaより引用】

感想

通常の警察を舞台にした事件解決モノといえば、刑事部が主役になるところを、まさかの広報室。
『記者クラブ』とか単語だけは知っていたけれど、警察との関係はこんな感じなのかとか、どういう流れで情報がやり取りされるのかとかを見ることができて、社会勉強のような気持ちで興味深く鑑賞しました。

そして物語自体も、主人公の娘の家出や、過去の未解決誘拐事件に関する刑事部による隠蔽などを織り交ぜながら、妊婦が起こした交通事故に関する実名を発表するか、匿名にしておくか……というやりとり。
そして新たに発生する過去の事件の模倣犯。どうなる、続きは後編で!ってな展開に、気持ちが翻弄されています。

原作未読ですが、ちょっと小難しい内容もスルスルと理解できるようになっています。
だいたいの作品に言えることですが、説明が必要な事柄をそれとわからせずに理解させていくのって、本当にスゴイですよね。

そして、登場するオッサンたちが魅力的。
オッサンスキーの私にとって、「眼福か!」と鑑賞中に叫びだしたくなるほどの作品でした。

佐藤浩市は言わずもがな、仲村トオルも三浦友和も赤井英和も永瀬正敏も、みんなみんな良かったです。
あと滝藤賢一も、でんでんも。あれ、でんでん出てた?

そして一番、息を呑むほど強烈な印象を与えてくれたのが椎名桔平。
県警本部長という役柄。
現場の人間の心を踏みにじるような人事案に対し、激昂した佐藤浩市が本部長室に乗り込んだ際の「君は、人事がしたいんだ?」の一言に、ゾッとさせられました。

どんなに熱く語ろうとも、まったく相手の心に響いてない、あの絶望感。虚無感。
何を言っても届かない。住んでいる世界、次元が違う。
そんなことが、あの一言にすべて詰まっていて怖かったです。

あの一言を喋らせた脚本も演出も、演じた椎名桔平も凄い。
ヘタな恐怖映画を観るよりも、よっぽどの怖い断裂を感じました。

あと若手、中堅群も素敵。
綾野剛は、私が観る映画が偏っているのか、どこか浮世離れしているキャラか、ものすっごいクソ野郎か、どうしようもないダメ人間とかばかりで、今回は普通に主人公の頼りになる右腕的なポジションにいて「あれ?」と拍子抜けしてしまいました。

あれ、綾野剛にしては普通過ぎる。───と。

その他の見どころといえば、窪田正孝のヒゲ面ですかね。
窪田くんは個人的に朝ドラの頃からお気に入りの俳優さんなのですが、その贔屓目でみても似合いませんね。

何はともあれ、前編の中ですでに主人公の知らないところで何やら事件が動いている描写もチラホラあり。
後編を楽しみにしつつ、原作にも手を出そうか迷っている今日このごろです。