映画『ソロモンの偽証 前篇』を観た

宮部みゆきが原作で面白くないわけがない。 そんな全幅の信頼を寄せて観に行ったところ、期待を裏切らぬ面白さでした。

予告ムービー

感想

リアリティがあり過ぎて、言い表しがたい絶望感が漂っている

大人も子どももひとりひとりにさまざまな背景、信念、正義があって行動するから、そりゃもう思惑や配慮が交錯しあって、まったくもって事件が収束しない。
だからこその『学校内裁判』という、奇想天外な方法で独自で解決策を探ろう…という展開になっていくんだけれど。

校長や警察は、告白状を出した生徒を守ろうとしていた。
だが、それが返って彼女をさらに追い詰める事態へと発展。

松子ちゃんのお父さんは「いじめには負けるな、立ち向かえ、笑い飛ばしてやれ」と教育。
自分がそれで立ち直ったから。娘がそれでやってこれたから。
だから、そうできないのには樹里ちゃんにも問題があるのでは?…という思考。

樹里ちゃんの母親は、自分の娘が虐められていることにも気付かず。
その原因が自分がこしらえる栄養バランスの考えられていない食生活が原因で、樹里ちゃんの顔がニキビだらけになっていることだなんて思いもよらない。
でも決して、娘に愛情がないわけではない。
娘も娘で自分で料理するわけでもない。文句を言いながら、唐揚げの衣をとって食べるという、等身大の中学生っぷり。

画面に細かく映り込んでくる小道具から、土曜日の夜を描写するのに使われた『まんが日本昔ばなし』のオープニングとか、何もかもが懐かしくて、現実的で。
そこに加えてこんな絶望感すら漂うほどの、救いようのないリアリティが画面からこれでもかと溢れだすわけだ。
正直、面白かったけれど、爽快感とかは今のところ皆無です。
その辺は後篇に期待してみる。

あと中学生たちの絶妙なダサさ。
バブル期の中学生たちの話だから、もちろんその頃に『オシャレ眼鏡』なんてものは存在しないし。
オシャレに目覚めてない子たちの、手入れされてない感が素晴らしい!

松子ちゃんと、そのお母さんが「同じ美容室行ってるんだね…」と、細かい設定まで浮かび上がってくるほど、瓜二つなヘルメット頭とか、もう笑いとるつもりなのか?と、疑いたくなっちゃうし。
判事になった秀才君の、あの髪のハネ具合とか最高だよね!!

中学生たちの演技が見事過ぎて自信を根こそぎ奪われそう

なんか中学生にして、みんな貫禄あり過ぎじゃないですかね。
全国1万人の中から選ばれた勝ち組というのもわかるけれど、それにしたって皆んなが皆んな演技が巧すぎる。

ドラマ『ワカコ酒』とか観たら、彼らは果てしてどんな感想を持つんだろうね?

主要キャラは、やっぱり特に眼力といい、オーラといい、あらゆる点で秀でててもう。
野田くんが観たことあると思ったら、まえだまえだの片割れだったこととか。
大出くんが観たことあると思ったら、『渇き。』に出てたボクだったとか。
いろいろ、サプライズありつつも、やっぱり主人公の藤野涼子ちゃんには今後も期待していきたい。 あと、樹里ちゃん役のあの子。

エントリー長くなっちゃうので省略するけれど、大人たちもそれはもう素晴らしい演技してましたよ。勿論。
実力派が集まって、物語に様々なスパイスで彩りを添えてくれてる。

中二病の描写が素晴らしい

もうねリアリティがリアル過ぎて、頭痛が痛い!

柏木くんの、『白か黒か』どちらかしか認めないあの感じとか。
主人公の自殺妄想とか。
秀才君の「俺は藤野の本気を試してただけ」的な発言とか。
自分がしでかした、または身近な人やクラスメイトがやらかしてたアレやコレを、逐一、思い出させてくれてこそばゆい。

何より樹里ちゃんは、一体、何人の観客の黒歴史を掘り起こしちゃうんだろうね?
あのニキビ顔といい、キモ笑いといい、虐められてたことといい。
友達に対する「構って」を裏返した悪態といい。
定規で文字を書いた告発状といい、赤字の宛名といい、それを教師や警察に見透かされることといい。
それが、まんま親にバレちゃうことまで含めて、もう!

いやー、いいキャラしてるわー。愛おしい。そして、いとオイシイ。

ミステリー部分もイイ!

柏木くんがどうして死んだのか?
神原くんと柏木くんに何があったのか?
柏木くんは担任の先生にどんなことを言って、あんな情緒不安定な状況に陥らせたのか?
…などなど、さまざまな謎は残されたまま、物語は後篇へ。

このエントリー書くために、Wikipediaで情報調べてたら、うっかりネタバレ部分まで読んじゃったけれど、気にしない!
予告観たら、やっぱりどんどん面白い展開になっていきそうな感じだったので、間違いなく観に行くよ。

4月が待ち遠しい(・∀・)